第四章

改めて茶室の畳に注目してみると、この配置には違和感を覚える。
基本、入り口から入った時に、畳の目が進行方向に対して逆らわないように置くことになっている。そうでないと、畳が長持ちしないからだ。
しかし、ここの畳はその決まりに逆らうように置かれている……これだけ立派な建物をつくりあげた建築士がルールを知らないなんて考えにくいし、第一、東側に縦方向の畳を置けば解決する話である。これはおかしい。
何か、配置をこのようにしないといけない理由があったのではないか。
……もしかして、このような向きにしないと不都合なものが、この下に隠されているのではないか。

茶室に行き、該当する畳にジッと目を凝らすと、他の部屋に比べて縁が傷んでいるのが見て取れた。特に、居間側に位置する短辺が汚れている。
畳の縁というのは基本は踏まないものであり、この極端な劣化はおかしい。
もしかして…私は居間を背にする形で立つと、畳の隙間に指を入れて一気に引き剥がした。
そこには、咳き込むほどの埃と共に、重々しい鉄製の扉が現れた。

なるほど、一見しただけではただの平屋だと思ったが、地下室があったんだ……!!!

錆びた扉を開けるのにはかなり苦労した。
汚れや埃をかぶった様子を見るに、だいぶ長い期間開けられずに放置されていたように思われる。
果たしてこの下には、何があるのだろうか。
……階段を降りる。

1歩踏み出すほどに、周りの空気が重くなっていくような感じがした。それほどまでに、地下には私を不安にさせる「何か」があった。
階段が終わった先は、音の反響から考えると、それなりに広い空間らしかった。
しかし、辺りを見渡そうにも真っ暗でろくに見えず……だからこそ、この強烈な悪臭は一層私を気味悪がらせた。
1階にいた時は全く気にならなかったが、地下室の奥へ奥へと進むほど強く臭う。あの地下室と1階を繋ぐ鉄の扉がこの臭いを封じ込めていたのだろうか。

暗闇の中でジッと目を凝らしてみる。
天井は低く、骨組みが露出しているようだった。
何本か、柱も見える。かなり簡易的な空間だった。
しばらくすると、壁に何かボタンのようなものがあるのが見てとれたので、押してみる。
地下にパッと薄暗い明かりが灯り安堵したのも束の間、私は底知れぬ恐怖に包まれた。
「これは……?」
辺り一面の漆喰の壁が、ビッシリと漢数字で覆われていたのだ。
その中でも大きく彫られた漢数字に私は注目した。

「……『四三・一七・七六・六五・六七』か……?なんだ、これは?」
横にずらっと並んだ漢数字を前に目眩がする。
どうやら2文字ずつで1組になっているようだが、何を表しているのか全くわからなかった。

……気分が悪い。
一旦地上に戻って空気を吸いに行こう。
しかし道を引き返したところで、私は鉄の扉の内側に彫られた奇妙な図形と、1枚の紙を発見してしまった。

彫られた十文字の図形……これが何を表すのか、なんとなくどこかで見かけたような気がする。

私はこれが何か大きな手がかりである気がした。
その後、床に落ちている紙を拾った。
紙の擦れ具合からして、どうやら先ほどまで鉄の扉に挟まっていたものが、私が開けたことによって地下室に落ちてきたようだった。

【箱から 壱 の資料を取り出して開いてください】

私は、自分を呪った。
「この古民家について深入りするべきではない」と直感的に思いつつも、目の前に現れた暗号が気になって仕方がないのである。
……大きくため息をつくと、目の前の暗号に向き合った。壁の暗号を解き明かすべく、まずは漢数字が振られた表を埋めるところから始めることにした。

【壁の言葉を推理する】
タップしてもLINEアプリが開かない場合は、アプリ内で【壁の言葉を推理する】と入力し送信してください